歯科医療の情報館
# 歯周病のガイドラインの対象: 単純性歯肉炎および成人性歯周炎
# 歯周炎の程度
① 軽度歯周炎: 骨吸収は,歯根の長さの1/3より少なく,ポケットは3-5m程度,根分岐部病変は生じていない。
② 中等度歯周炎: 骨吸収は,根の長さの1/3-1/2程度,ポケットは4-7mm程度,軽度の根分岐部病変も含む。歯の動揺は軽度に増加する。
③ 重度歯周炎: 骨吸収は,根の長さの1/2以上,ポケットは6mm以上で10mmに及ぶものもある。根分岐部病変2-3度も含む,歯の動揺は著しい。
# 歯周治療の基本的考え方: 第一にもっとも重要な原因(初発因子)である"プラーク(歯肉縁上プラークと縁下プラーク)"を歯科医師と患者が協力して取り除くことである。
# 歯周病の治癒とは: 歯周組織が臨床的に健康を回復した状態を「治癒」と呼ぶ。具体的には、歯肉の炎症はなく,歯周ポケットは3mm以下でプロービング時の出血がなく、歯の動揺度は生理的範囲のものを治癒のめやすとする。
# その他: 軽度の歯周炎: 定期的(年に2回等)な来院による予防処置(X線、検査、ブラッシング指導、PMTC、スケーリング)等が必要。
歯科医療におけるX線検査の被爆線量: パノラマは39.9mSv~43.6mSv、デンタルは16.3mSv~39.1mSv。
ただし、アナログX線の場合。
歯科医師法に以下のように記載されています。
第1条(歯科医師の任務)
歯科医師は、歯科医療及び保健指導をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。
それでは歯科医師の義務とは何であろうか?歯科医師法には以下のように記載してあります。
歯科医師の義務・禁止事項
(1) 診療応召の義務(歯科医師法19条)
(2) 無診察治療の禁止(歯科医師法20条)
(3) 処方箋交付の義務(歯科医師法21条)
(4) 保健指導を行う義務(歯科医師法22条)
(5) 診療録の作成・保存の義務(歯科医師法第23条)
歯科医師の業務に関する規則
(1) 死亡診断書の記載事項(歯科医師法施行規則19条の2)
(2) 処方箋の記載事項(歯科医師法施行規則20条)
患者の氏名・年齢・薬名・分量・用法・用量・発行年月日・使用期間及び病院若しくは診療所の名称及び所在地又は歯科医師の住所を記載し、記名押印又は署名
(3) 薬剤容器等の記載事項(歯科医師法施行規則21条)
用法・用量・交付の年月日・患者の氏名及び病院若しくは診療所の名称及び所在地又は歯科医師の住所及び氏名
(4) 診療録の記載事項(歯科医師法施行規則22条)
一 診療を受けた者の住所・氏名・性別及び年齢
二 病名及び主要症状
三 治療方法(処方及び処置)
四 診療の年月日
その他に上記には記載されていませんが、刑法第134条に診療に関する守秘義務があります。(正確には医師としか言っていないが)
まとめ 公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保すること
従って、歯科医院の中で患者さんの治療を行うだけでなく、校医としての業務、小児健診を代表とされる業務のほかに、社会保健事業への参画と言った様々な仕事が存在するのである。
はれて歯科医師国家試験に合格したら、歯科医籍登録を行わなければなりません。歯科医籍登録に対して、歯科医師法施行令には以下のように定めています。
第1条(免許の申請)
歯科医師免許を受けようとする者は、申請書に厚生省令で定める書類を添え、所在地の都道府県知事(注 一般的には窓口は保健所になっている)を経由して、これを厚生大臣に提出しなければならない。
第2条(歯科医籍の登録事項)
歯科医籍には、左に掲げる事項を登録する。
一 登録番号および登録年月日
二 本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍)、氏名、生年月日及び性別
三 歯科医師国家試験合格の年月
四 免許の取消又は歯科医業の停止の処分に関する事項
五 その他厚生大臣の定める事項
# 歯科医籍登録
しかし歯科医師の免許を取ったからと言ってその日から満足な診療を行うことなどは望むべくもありません。臨床研修が必要です。歯科医師法では、この臨床研修に関して以下のように記載してあります。しかし、その条文からも解るように、この臨床研修に関しては法的には努力義務となっています。(ただし、平成18年4月よりの歯科医師臨床研修必修化)
☆ 040223 平成16年度から始まる医師の研修制度では、アルバイト禁止が打ち出された。今まで研修医のアルバイトに頼っていた市中の病院には影響はないのであろうか?
歯科医師法 第16条の2
歯科医師は、免許を受けた後も、1年以上大学若しくは大学の歯学部若しくは医学部の附属施設である病院(歯科医業を行わないものを除く。)又は厚生大臣の指定する病院若しくは診療所において、臨床研修を行うように努めるものとする。
また、歯科医師は1人でその診療行為をすべて行うことは難しく、パラデンタルスタッフの力を借りなければなりません。デンタルスタッフには歯科医師をはじめとして以下のような職業があります。
歯科医師(Dentist)
言うまでもなく歯科医師です。診療科としては「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」の4つが標榜科名となっています(平成20年4月現在)。
歯科衛生士(Dental Hygenist)
「歯医者さんの看護婦さん」といえば、イメージ分かりやすいと思います。高校卒業後、「歯科衛生士専門学校」へ入学して2年間の課程を終了後、歯科衛生士国家試験に合格する必要があります。予防処置、診療補助業務全般のほか、歯磨きや食事などの保健衛生指導指導、歯石除去などの治療に携わります。現在は2年間修習年ですが今後は歯科衛生士専門学校も順次3年間に延ばされる予定である。
Internetの掲示板の一部では歯科衛生士の職務範囲が問題となっているところもあります。だからというわけではありませんが、常識として歯科衛生士に業務の指示を行う場合には違法行為とならないように注意しなければなりません。
しかし、法の世界には「ホワイトゾーン」「グレーゾーン」「ブラックゾーン」が常に存在するものです。あまりにもホワイトゾーンに拘束されず、時としてはグレーゾーンに踏み込まなければ社会人としての活動が不可能なのはどの世界も同じです。そのためにもホワイトゾーンとブラックゾーンを理解しなければならないのである。
歯科助手・アシスタント(Assistant)
歯科衛生士の資格を有しない、いわゆるアシスタントです。その業務は多岐ににわたります。しかし、一部の歯科医院では資格のない助手に歯科衛生士の業務を行わせて問題となっているケースもありますので注意が必要です。
受付秘書・医療事務(Receptionist,Secretary)
たいていの場合、患者さんが一番最初に接するのが窓口業務を担当している「受付」です。診療の予約などのアポイント業務、会計業務、カルテのチェックや診療報酬請求などの医療事務、等をその職務の中心として、医院の顔であり非常に重要な職種です。
歯科技工士(Dental Techinitian)
その医院の治療の質を左右する上で重要な職種です。以前は院内に技工士を置くことが多かったようですが、最近では技工物を外注に頼り、院内に技工士を置かない歯科医院も増えてきたようです。
ただ、その医院の診療の内容によってはぜひとも院内に技工士が必要な場合もありますので、院内技工が良いのか、外注技工が良いのかは意見の分かれるところです。
# 通常どの様な職業においても職域の団体が存在します。歯科医師と言う職業においての団体の代表的なものは歯科医師会です。
歯科医師会への加入は常々議論となることですが、歯科医療は単に診療所で患者さんに向き合って診療行うだけではなく、社会保健事業に取り組むことも大事な仕事です。したがってそういった場合、歯科医師会という職域団体は重要な働きを果たすのは言うまでも無い以上、極力歯科医師会には入会した方が良いのは当たり前のことと言えましょう。
しかし、歯科医師会の会務や会費の負担が重いという意見があるのと、本来の目的からすると歯科医師全員が加入することが望ましいのであるが、勤務医や夫婦開業の片割れが加入していないことが多いなど、歯科医師個人の入会というより歯科医院の管理者の入会といった現状なのである。
歯科医師過剰時代を迎え、歯科大学の人気も下落の一途をたどっているようだ。
平成16年には、志願者数:16,465人、受験者数:14,350人、合格者数:3,629人であったものが、平成20年には、志願者数:12,365人、受験者数:10,370人、合格者数:4,039人と志願者数は25%も減少している。それに対して合格者数が約10%増加しているが、これは入学辞退者増を見込んでの対応ではないかと思われる。
これらの数字から計算すると、平成16年には合格者の4.54倍の志願者があったものが、平成20年には3.06倍と低下している。
この間、入学定員は2,667人から2,657人と10人減少(全て国立大学分)している。もっとも昭和56~60年には3,380人の入学定員であったことを考えると約20%くらい減少しているようだ。ただ平成10年までの削減数が666人であるが、それ以降は57人しか削減されていないようなのだが。
ちなみに、平成20年度入試では4校が定員割れと聞いている。話しによると、M、NN、O、Nらしい。
★ 参考資料
歯科医療を行う場合、その対象をどこにおくかが問題ですね。「歯」「歯周組織」などは誰にでもわかるでしょうが、それだけでは無いんですね。歯科医療の範囲を定めた文献や規則は見あたりませんが、以下の資料がその目安の一つになるでしょう。
| 歯科の診療範囲とは、歯牙、歯肉、口唇、頬粘膜、上下歯槽、硬口蓋、舌前3分の2、口腔底、軟口蓋、顎骨(顎関節を含む)、唾液腺(耳下腺を除く)を加える部位とする。 出典・第2回「歯科口腔外科に関する検討会」議事要旨(平成8年5月16日) |
一般の開業医においては問題となることは少ないですが、口腔外科の分野では、口腔ガンの手術時において頸部隔清術がその範囲に入るかなど、問題が生ずる場合もあります。
この点において、上記の解釈は「歯科口腔外科」としての診療科の標榜に関しての診療範囲であり、歯科全般の診療範囲ではないという御意見もあるようですが、歯科診療の範囲を定めた見解が存在しない以上、歯科における一番広い診療範囲を定めた上記見解が一つの目安となることは確かでしょう。しいて言えば、顎関節も歯科の範疇にはいるかな。
逆に医師がどの程度歯科医療に踏み込めるかという問題もありますが、歯科医療の範疇には歯科医行為であると同時に医師行為であることが含まれています。例えば、抜歯、齲蝕の治療(充填の技術に属する行為を除く)歯肉疾患の治療、歯髄炎の治療等、所謂口腔外科に属する行為等は医師でもOKです。
ちなみに、歯周疾患をはじめとする口腔疾患に対して「禁煙指導」を行うことは可能ですが。「ニコチンパット」の処方は、歯科医師は行うことはできません。
# 歯の切削で、5~20秒間の温度上昇(ドイツ ヘラウス社データ)。温度上昇6度で15%、12度で60%、18度で100%壊死。
# 生活歯に電流を通じたときの影響(アメリカ UCLAデータ)
1秒 3~4度、 2秒 7~8度、 3秒 12~13度。
# 歯髄への影響(ドイツ ヘラウス社データ)
(1) 乾式処置(水もエアーも使わず削る) 温度上昇 9.5度~35度
(2) 空冷(ヘッドからのエアー又はスリーウェイシリンジのエアー) 7.5度~20.8度 (1)とあまり変わらず。
(3) ヘッドからの注水: 6~10度 部分的なために充分でない。
(4) アシスタントによるスリーウェイシリンジの水のみ: 注水がカーブしてバキュームの方へ吸われてしまうのでほとんど効果はない。
(5) アシスタントによるウオータースプレーによる冷却(水とエアーの混合スプレー)あらゆる器具を使っても2度以上の上昇は無い。初期に5度までの過冷却が認められる。
毎分15ccの注水量では12~22度温度上昇とほとんど効果無し。
毎分30ccの注水量では6~10度温度上昇で不十分。
毎分50ccの注水量では温度上昇6~7度。
毎分80ccの注水量では5度前後。
以上より50ccの注水量が確保できれば良いとされている。
# 切削圧の影響
圧力が高いほど温度上昇は高いが5度前後の差。
# 理想的な歯牙切削
① 37度で削る
② タービンを使わない
③ マイクロモーターの増速コントラ100000rpm以下で削る。
④ ヘッドの注水口は3穴もしくは4穴を使い50cc/min 以上の注水量。
⑤ アシスタントにはホットウォータースプレーを常にかけてもらう。
⑥ 強力なバキュームとバキューム直結の排唾管を使う
ただし、ただ冷やせば良いという問題ではない。あまり温度を下げすぎても冷反応をおこす。
歯科医師になるには、歯科医師国家試験に合格して、厚生大臣の免許を受けなければなりません(歯科医師法第2条)。では、歯科大学を卒業しないと歯科医師国家試験を受験できないんでしょうか?
# 歯科医師法第11条に、以下のような記載があります。
第11条(歯科医師国家試験の受験資格)
歯科医師国家試験は、左の各号の1に該当する者でなければ、これを受けることができない。
1 文部大臣の認定した大学において正規の歯学の課程を修めて卒業した者。
2 歯科医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後1年以上の診療及び口腔衛生に関する実地修練を経たもの。
3 外国の歯科医学校を卒業し、又は外国で歯科医師免許を得た者で、厚生大臣が前2号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有し、且つ、適当と認定したもの。
これらからすると、現在においては歯科大学を卒業することが歯科医師への道の第一歩のようだ。
では毎年どのくらいの歯科大の卒業生があって、どのくらいの割合で歯科医師国家試験に合格しているか?
これらは年度によって差はあるものの、平成20年2月の試験を例に取ると、3,295名の受験者(新卒・既卒計)のうち2,269名が合格。合格率は68.9%である。
まとめ: 歯科大学を卒業の後、歯科医師国家試験に合格することが歯科医師への第一歩
平成21年2月現在、日本における歯科医師免許に有効期限や一定期間毎の書き換えなどの規則は無い。しかし、だからといって生涯免許を持っていられる訳では無い。
一般的には罰金刑以上に処せられた歯科医師は、厚生労働省の医道審議会に諮られ、医業停止又は免許取消の処分に処せられることがある。これを行政罰と言い、刑事罰、民事罰と合わせた三つの罰のうちの一つである。これらの処分に処せられると、一定期間にしろ歯科医師の免許を失うことになるので注意が必要である。
# 今後は医師・歯科医師の生涯研修と免許の更新制度は導入される流れと見ておいた方が良いようである。

