試験削合の正当性と説明義務違反

2010年8月20日 08:54

平成20年10月3日頃

# 大阪高裁判決(地裁では歯科医師の勝訴、高裁では患者の勝訴)

 # 原告(患者)は頬部の圧痛と冷痛で、被告(歯科医師)の歯科医院を受診。

# 歯科医師の対応: X線(異常なし)、患歯(上の3番)の処置歴無し、2回の電気歯髄検査で異常なし。その後、歯科医師は「中を開けてみないとわからない」とは言ったもののその(試験削合)の必要性を説明せず。

 # 犬歯を神経ぎりぎりまで削合したため激痛が発生。歯髄炎から神経因性疼痛を発生させたものと、大阪高裁では認定。
(1) 試験削合の必要性: 「歯科文献」により「最終的手段」とされており、歯髄の生死は「問診、視診、レントゲン検査、電気診・温度診・打診・麻酔診」などの諸検査を総合して判断すべき。電気歯髄診断においてはエラーを念頭に置くべきで電気診だけに頼ってはいけない。
(2) 過剰な試験削合: 「歯科文献」により、生活歯の削合による歯髄への刺激は非常に危険。
(3) 経過観察の必要性: 被告は本件において「経過観察が可能(急性症状がなかった)」であることを認めており、性急に試験削合を行う必要はなかった。

# 高裁判決の判断 
(1) 本件削合を実施したこと自体、必要性及び緊急性もないのに、危険な侵襲を与える検査に及んだものであって、注意義務違反があった。
(2) 歯髄ぎりぎりまでの切削を行う必要性は存在しなかったというべきであり、試験削合の実施方法についても注意義務違反があった。

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