矯正治療による不具合に対する損害賠償請求事件

2009年8月 3日 08:01

矯正治療による不具合に対する損害賠償請求事件(東京地裁 平成20年12月25日)

# 大学病院の小児歯科と矯正歯科に受診していた患者が、小児歯科で診療中に歯根吸収と開咬を生じ、また矯正歯科で診療中に悪化したことについて、約1860万円の損害賠償請求訴訟をおこしたが、請求が棄却されたもの。

# 請求の根拠
① X線撮影で歯根吸収を発見した時に速やかに矯正治療を中止するなどの対応をとらなかった。
② 新たな不正咬合を発生させない義務を怠ったこと。
③ 矯正治療に歯根吸収の危険性があるとの説明義務を怠った。

# 裁判所の判断
① 歯根吸収の性質については、歯根吸収が起きるか否か、どの程度の歯根吸収が起きるかは個々の患者によって異なることになるから、患者の希望に基づいて歯の矯正治療を行っている医師が、歯根吸収を発見した場合に常に矯正治療を中止し又は治療方針を変更する義務や、歯根吸収の発生を防止するために画一的に年1回又は6か月に1回の頻度で前歯部のデンタルレントゲン撮影を行う義務を負っていると解することはできないというべきである。
② 患者の希望に基づいて歯の矯正治療を行っている医師が、一般的に歯根吸収の危険性のより低い消極的治療を選択すべき義務を負っていると解することはできないというべきである。
③ 説明義務違反の主張について
D医師は、最悪の場合は、失活、脱落も考えられるとまで説明しており、このような説明を受ければ、通常、歯根吸収が進行する危険性を認識し得るというべきであるから、D医師の歯根吸収に関する事前の説明について、説明義務違反の違法があったとはいえないというべきである。

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