カルテの作成
今となっては言うまでも有りませんが、かつては手書きだったカルテも、現在では多くの歯科医院ではカルテコンを使用しての作成だと思います。では、カルテってカルテコンで作成してもいいのでしょうか?結論からいうとOKです。ただし、保険医の署名又は記名押印が必要ですので御注意を。下記がその根拠となる通知です。
● 診療録等の記載方法等について
(昭和六三年五月六日 総第一七号・指第二○号・医第二九号・歯第一二号・看第一○号・薬企第二○号・保険発第四三号)
各都道府県医務主管課長・薬務主管課長・保険主管課長あて
厚生省健康政策局総務課長・指導課長・医事課長・歯科衛生課長・看護課長・薬務局企画課長・保険局医療課長通知)
近年、OA機器の普及に伴い、医師法第二四条及び歯科医師法第二三条の診療録並びに薬剤師法第二八条の調剤録等の記載方法につき、種々疑義が発生しつつあるやに見受けられるが、左記のとおり解すべきものであるので御了承の上、管下病院、診療所、薬局等関係者を適宜指導ありたい。
記
一 診療録等の記載方法について
医師法第二四条及び歯科医師法第二三条に基づく診療録並びに薬剤師法第二八条に基づく調剤録等の記載については、作成した医師、歯科医師又は薬剤師の責任が明白であれば、ワードプロセッサー等所謂OA機器により作成することができること。
なお、この場合には、作成の基礎となつた情報の管理体制について十分留意すること。
二 保険診療録等の記載方法について
保険医療機関及び保険医療養担当規則第八条及び第二二条の適用を受ける診療録並びに保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第五条及び第一○条の適用を受ける調剤録記載についても一と同様であるが、この場合にあつては、保険医及び保険薬剤師等の署名又は記名押印を要すること。
三 処方せんの記載方法について
薬剤師法第二三条に規定する処方せんの記載についても一と同様とすること。
なお、患者に交付する処方せんについては、医師等の署名又は記名押印を要するものであること。
また、病院又は診療所の管理者は、処方せんに係るOA機器の導入に当たつては、処方せんについては患者等への交付が原則であることに十分留意しなくてはならないこと。
四 助産録の記載方法
保健婦助産婦看護婦法第四二条に規定する助産録の記載についても一と同様とすること。
五 その他
診療録及び処方せん以外の医療法第二一条第一項第一四号の診療に関する諸記録についても一に準じて取扱つて良いこと。
① 月日 欄: 来院時の初診年月日、再診年月日を記入する。
② 療法 処置 欄: 初診又は再診の印をおすこと。
※ また保険証を確認したときにはここにその旨記入しておくといいだろう。
③ 診療点数 一部負担金 の記入: 当日の診療が終わったなら、点数の合計と一部負担金の入金、未収、前回未収の入金などの事項を必要に応じて記載しておくといい。
④ 月末集計: 当月の診療が終わった患者については、所定の方法により月間の診療点数の集計を行い、月締めとして「○月分○日○点」を記載し、その月のレセプトの請求点数と違いはないかをチェックしておく。
保険診療の規則上、「患者番号」の記載などの指定は無い。しかし、ほとんどの歯科医院ではレセコンの入力の都合上、いわゆる「患者番号」が設定されているケースが多いと思われる。従って、1号カルテの表面の空白部には「患者番号」や「(母)(身)(乳)」などの記載をしているケースが多いでしょう。
② 公費負担者番号
老人保健証番号など必要が有る場合には記入すること。
③ 保険者番号
必ず記入すること。
④ 記号 番号
必ず記入すること。
⑤ 有効期限
有効期限が有る場合については記入すること。
⑥ 氏 名
必ず記入すること。
# 読みの難しい患者については、フリガナをつけておいたほうがいいでしょうねぇ。カルテコンでフリガナも打ち出されていればOKですが。
⑦ 生年月日
必ず記入すること。
⑧ 住 所
必ず記入すること。
⑨ 電話番号
必ず記入すること。
⑩ 職 業
記入不要。
⑪ 被保険者との続柄
必ず記入すること。
⑫ 被保険者氏名
必ず記入すること。
⑬ 資格取得日
必ず記入すること。(被保険者と被扶養者で異なるので注意)
⑭ 事業所
事業所の名称のみ記入。
⑮ 保険者
なるべく記入のこと。
⑯ 開始欄
初診年月日(診療開始日)を記入すること。
同一のカルテで2度3度初診をおこす場合には、その都度初診年月日を記入し、前回来院時との間に青線を引くこと。
⑰ 病名欄
⑱ カルテ上部空欄
身 老 母 乳 の記入
その他必要な事項の記入。(負担割り等)
⑲ 主訴欄
⑳ 歯型図欄
青本には必要に応じて記入すると記載されている。
ただし、社保研修会等では根拠もなく「必ず記入すること」と指導されている。しかし、不必要な歯型欄の記入は過誤の原因になりやすく注意が必要である。
以下に問題点を記す
# 歯型欄の記載は「歯科医師が記入する。ただし、アシスタントが記載することは黙認されている。」と疑義解釈にあるが、大蔵省の金融政策の諸問題にも有るように、行政庁が黙認していることが後に社会問題化する事も多く、不必要な問題を抱える必要はない。また、歯型図以外に口腔内所見が記載されていれば必要に足る。
# 全顎的に治療方針をたてる時はともかく、1歯のC処置で事足りる患者の全顎所見まで書く必要は無い。
# ある人に言わせると、全顎の所見を記載していると後に飛行機事故や焼死体等の個人識別のために役に立つと言う理論もあるが。元々診療目的以外に利用してはならないはずの保険診療のデータを他の目的のために整備することは必要範囲外である。主治医の必要に応じて記載すれば良いと思われます。それが結果的に他の目的のために利用できればそれはそれで結構なことと思われます。もし個人識別のデータを整備することが社会的ニーズであり、保険診療において必要なものであるとすれば初診時に全顎のX-Rayを制限無く認めるべきです。
# 最初にカルテを作成した時に歯型図を記載しても、同じカルテで2度3度初診を起こした場合最初の所見と異なる場合が有ります。特に他院での治療をはさんだ場合には過誤の原因になりやすく、といって毎回全顎の所見を記載することは大変です。
以上の理由から「歯型図欄」は「主治医の必要に応じて記載する」ことで問題ないと思われます。
カルテとレセプトは密接に関係するので「カルテ記載の基本」も掲載しておきましょう。
1 診療録(通称:カルテ)の様式
保健医療機関及び保健医療養担当規則第22条に定められた様式を用いる。
参考) 第22条 保険医は、患者の診療を行った場合には、遅滞なく、様式第1号又はこれに準ずる様式の診療録に、当該診療に関して必要な事項を記載しなければならない。
※ ここでいう「遅滞なく」とはどのくらいを指すのか?正式な通知は無いものの、伝聞によると「24時間以内」というのが一つの目安のようである。
2 診療録の大きさ
レイアウト(様式)は決まっておりますが、大きさは決まっていません。以前はB5版が主流でしたが、行政文書のA版化をふまえA4版が望ましいとされています。ちなみに処方箋はA5版と決まっています。
3 診療録の種類
具体的には、患者情報を記載することを中心とした「1号用紙」と、処置などを記載することを中心とした「2号用紙」があります。
4 診療録は何で書くか?
カルテの記載は、原則として「黒又は青のボールペン」とされており、修正するときも「修正液は使わず、=で消す」ことになっており、また記載に於いては行間を空けないようにと指導されています。
※ これからすると、図式などを書く場合に見やすいように赤ペンでなどということも禁じられているという解釈になってしましますがそれはどうでしょうねぇ?
たとえば、うちではカルテを書く際には重要事項を赤鉛筆で○囲みしたりといった方法をとっています。カルテは、長年来院していると厚くなって、必要な記載事項がどこに書いてあるのか探すのが困難になり、利便性のためにそのくらいは良いのではと思っていますが。
